安全地蔵尊(業平橋駅)
February 18th, 2006本所区(現墨田区南部)は3月10日の空襲でほぼ全域が焼失し、いたるところで死傷者が出た。中でも業平橋駅のあたりは犠牲者が多かった区域のひとつと言われている。
東武線業平橋駅の改札を出てすぐ北側、線路沿いの細い道に入る角に、小さな地蔵尊がある。とてもひっそりとあるので、毎日この駅を使う人でも気づいていないかもしれない。
この地蔵尊の由来は定かではないらしいが、交通安全と併せて空襲犠牲者の冥福を祈願するものだという。親子三体からなるとても小さな地蔵尊だが、花は絶えず供えられている。
業平橋駅長によって書かれた由来が興味深い。
安全地蔵尊の由来
この地蔵尊は昭和三十四年九月、何処からともなく貨車によって運ばれてきた石や砂の中からお姿を現したものですが、もとの安置場所や建立年代が定かでなく、しばらく駅構内に仮安置されていました。かって業平橋駅構内およびその付近では空襲による犠牲者が少なからず、これに思い致された人々が平和への祈りと、道路や線路の安全への願いを込めて昭和三十九年四月二十四日に「安全地蔵尊」としてこの地に安置されました。永い風雪にさらされたためか昭和六十年十二月、地蔵尊のお姿が見えなくなってしまいましたが、人々の落胆ぶりを見て鈴木栄三郎氏がご尊体を寄進し入仏の儀を行い新たにこの地に安置され現在に至っております。ここに関係者のご好意に感謝し、永く皆様に親しまれますよう念願いたします。
昭和六十一年五月吉日
業平橋駅長