平和の日

March 10th, 2006

3月9日夜から3月10日未明。61年前のこの時間、これを書いているこの場所には、多くの焼夷弾が降り注ぎ、多くの命が失われ、多くの生活が失われ、そして多くの希望が失われた。

3月10日が何の日かと聞かれて、すぐに答えられる人は少ないだろう。戦時中、空襲は全国で幾度となくくり返されたが、原爆を除けば3月10日の東京大空襲ほど大きな犠牲を出した日はない。その被害の大きさは広島や長崎と肩を並べる。

今さっきタクシーで隅田川を渡ってきた時、頭上を走る高速道路の照明が夜空を隠すように光っていた。人々が逃げまどってやがて力尽きた通りにはビルが建ち並び、車があふれ、過去の記憶に気づかないまま忙しそうに車窓のうしろへ消えていった。

東京都は1990年(平成二年)、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、「東京都平和の日条例」を制定し、3月10日を「東京都平和の日」と定めた。

 東京は、今や、世界の経済社会の発展を支える大都市としての地位を占めるに至った。これは、東京の地に住み、働いてきた人々の努力の賜物である。
 しかし、東京の歴史には、幾多の惨禍が刻まれている。特に、多数の都民が犠牲となった第二次世界大戦の悲惨を我々は忘れることはできない。
 平和は、都民すべての願いである。
 東京都は、平和国家日本の首都として、世界の都市と連携し、文化交流の推進に努め、人々の相互理解に立脚した国際秩序の形成と恒久平和の実現に貢献する責務を深く認識し、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓う。 (東京都平和の日条例前文)
東京都ウェブサイト

今日、各所で空襲犠牲者を慰霊する記念式典や法要が行われる。

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